古文の攻略に欠かせないことといえば助動詞と敬語、この2つでしょう。
しかし、重要なことはわかっても難しくてなかなか理解できないといった方は多いのではないでしょうか。
古文が苦手という方の多くはこの2つでつまずいてしまっている可能性が非常に高いです。
この記事はそんな助動詞と敬語のうち助動詞に焦点を当てて理解し、問題へと役立てられるような内容になっています。
ぜひ、ここで学んで苦手の克服、理解を図りましょう!
助動詞
そもそも助動詞って?
まず、これがわからなくては先には進めませんよね。
しかし、ここがよくわからずに授業や勉強を進めてしまっている学生さんも多いのではないでしょうか。
助動詞とはその名の通り、動詞を助けるもの!
動詞の直後に付き、動詞の形を限定し、意味を付与する!
以上です!笑 2行でまとめられてしまいましたね。特に重要なのは2行目です。
※動詞の直後につき、動詞の形を限定するとは特定の形の動詞の直後に接続するということでもあります。
では、実際に例文を使って助動詞がどのように働いているかみてみましょう。
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。
竹取物語
皆さんよく知っているであろう竹取物語の冒頭です。ここにも一つ助動詞が使われていますね。
過去の助動詞で連用形接続の「けり」です(まだ覚えていなくても大丈夫です)。
動詞の「あり(終止形は「あり」)」の直後について、「あり」を連用形にしています(上記でいう動詞の形の限定)。
また、過去の意味を付与するので、現代語訳は
昔々、竹取の翁という人がいた。
となり、「いる」に過去の意味が付与されて「いた」になっていますよね。
このように実際にみてみると助動詞が動詞の直後について動詞の形を限定し、意味を付与するということがどのようなことなのか分かったと思います。
どのように覚えるのか?
ここまでで助動詞がどのようなものかわかってもらえたとして、実際にどのように覚えればいいのでしょうか?
学校でただただ教科書に羅列されている助動詞を暗記してこいというのは無茶な話ですよね。
大丈夫です、安心してください。歌に合わせた暗記法が存在します。
るー らる すー さす しむ ず じ むー むず まし まほし 未然形 き けり つー ぬー たり けむ たし これらはみんな 連用形 らむ らし めり べし まじ 終止 伝聞 なーり も 終止形 断定 なり は 連体言(れんたいげん) ごとし も 連体 り は サ未四已(さみしい)
さまざまな替え歌での暗記法が存在しますが、もしもしかめよのリズムが一番合わせやすく、覚えやすいと思います。
上の小さい文字がもしもしかめよのリズムと歌詞で、下の大きな文字が助動詞(黄色のマーカー)。青いマーカーはその列の助動詞の直前の動詞を何形にするかを表しています。
「なり」という助動詞は伝聞と断定という2種類の意味によって違うので、歌でも伝聞、終止が分かれています。
また、連体言とは連体形と体言(名詞)どちらにも接続するということを表しており、
サ未四已とはサ行変格活用の未然形と四段活用の已然形と接続するということを表しています。
それぞれの助動詞の意味まで一つの歌で覚えるというのはごちゃごちゃしすぎて覚えにくいと思うので,
とりあえずはこのリズムですべての助動詞とその接続を覚えることをおすすめします。
それが覚えられたらこのままの順で助動詞が付与する意味と活用の仕方(「す」の場合、せ せ す する すれ せよ)を覚えましょう。
この順は大体の意味が同じものがちかくにあるので暗記しやすくなっているはずです。
活用の仕方についてはそれぞれ下二段活用や四段活用などど同じ活用の仕方をするものもあるので
それを覚えながら特殊な変化をするものに関しても何度も口に出して暗記するしかないので毎日取り組みましょう。
この順に直した助動詞をノートに書き、その下に赤ペンで活用と意味を書いて赤シートで繰り返し暗記しましょう。
サ未四已 | 連体 | 連体言 | ここまで | 終止 | ここまで | 連用 | ここまで | 未然 | ||||||||||||||||||
り | ごとし | なり | なり | まじ | べし | めり | らし | らむ | たし | けむ | たり | ぬ | つ | けり | き | まほし | まし | むず | む | じ | ず | しむ | さす | す | らる | る |
ら | 〇 | なら | 〇 | まじから | べから | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 たから | 〇 | たら | な | て | けら | せ | 〇 まほしから | ませ ましか | 〇 | ま | 〇 | 〇 ざら | しめ | させ | せ | られ | れ |
り | ごとく | なり に | なり | まじく まじかり | べく べかり | めり | 〇 | 〇 | たく たから | 〇 | たり | に | て | 〇 | 〇 | まほしく まほしかり | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ず ざり | しめ | させ | せ | られ | れ |
り | ごとし | なり | なり | まじ | べし | めり | らし | らむ | たし 〇 | けむ | たり | ぬ | つ | けり | き | まほし 〇 | まし | むず | む | じ | ず 〇 | しむ | さす | す | らる | る |
る | ごとき | なる | なる | まじき まじかる | べき べかる | める | らし | らむ | たき たかる | けむ | たる | ぬる | つる | ける | し | まほしき まほしかる | まし | むずる | む | じ | ぬ ざる | しむる | さする | する | らるる | るる |
れ | 〇 | なれ | なれ | まじけれ | べけれ | めれ | らし | らめ | たけれ 〇 | けめ | たれ | ぬれ | つれ | けれ | しか | まほしけれ 〇 | ましか | むずれ | め | じ | ね ざれ | しむれ | さすれ | すれ | らるれ | るれ |
れ | 〇 | なれ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | たれ | ね | てよ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 ざれ | しめよ | させよ | せよ | 〇 | 〇 |
完了 存続 | 比況 例示 | 断定 存在 | 伝聞 推定 | 打消推量 打消意志 不可能 打消当然 不適当 禁止 | 推量 意志 可能 当然 命令 適当 | 推定 婉曲 | 推定 | 現在推量 原因推量 伝聞 婉曲 | 希望 | 過去推量 過去の原因推量 過去の伝聞 過去の婉曲 | 存続 完了 | 完了 強意 並列 | 完了 強意 並列 | 過去 詠嘆 | 過去 | 希望 願望 | 反実仮想 不可能な希望 | 推量 意志 勧誘 婉曲 適当 仮定 | 推 量 意志 勧誘 婉曲 適当 仮定 | 打消推量 打消意志 | 打消 | 使役 尊敬 | 使役 尊敬 | 使役 尊敬 | 自発 可能 受け身 尊敬 | 自発 可能 受け身 尊敬 |
ここに表を用意してみたのでよろしければご活用ください。
右からやっていって、上記の歌の順番になっているので取り組みやすいです。
こちらをそのまま暗記用に使いたいようであればゼブラのチェックペンαを使ってみましょう。
黒字でもこちらのマーカーで塗れば赤シートで隠れるようになるので非常に優秀なものです。
青色は暗記に最適だともいわれているので受験の必需品として用意しておきましょう。
実際にどのような問題が出るのか?
ここまでで助動詞がどのようなものでどのように暗記するのかをお話してきましたが、
実際には助動詞がどのように問題として出て役立つのでしょうか?
先ほどと同じ竹取物語の原文から例題を考えてみたいと思います。
~」とて、手にうち入れて、家へ持ちて来ぬ。
竹取物語
翁がかぐや姫を連れて帰る場面ですが、ここから予想される出題方法は
1「ぬ」は助動詞であるが、次のうちのどの意味か。①打消②伝聞③推量④完了
2 また、「来」は何形で何と読むか。
3「家へ持ちて来ぬ」の部分を訳せ。
といった具合です。1では助動詞自体の意味の暗記を問うていて、
2ではその助動詞は何接続なのか、
3では助動詞の意味の暗記と実際にそれを使って訳せるかということが問われています。
1,2のような単純な問題は日東駒専レベルまでで特によく見られ、こういった問題では助動詞の暗記だけで確実に得点することができます。
こうみてみると助動詞は暗記するだけで得点できる場合や前提として出題される3のような問題もあるので必ず身につけなけらばいけないことが理解できたのではないでしょうか?
助動詞についてはこちらの文法書でも学べるので、実際に問題にも取り組み、古文を得点源にしましょう。
古文を使う受験生の必需品になります。
まとめ
今回の記事では助動詞は特定の形の動詞に接続して意味を付与するといった趣旨を踏まえ、その暗記方法と出題方法まで見ていきました。
古文のおすすめ参考書やスケジュールはこちらで紹介しているのでぜひ参考にしてみましょう!
追記
独学で乗り越えられるとはいったものの、やはり一人で学び続けることの精神的負担や嚙み切れない内容の問題はでてくるかもしれません。
大学受験自体のシステムや知識の不足もあると思います。
そんな方には必要に応じて家庭教師としてお手伝いさせていただくことも可能です。(担当教科はおよび対応レベルは下記著者プロフィールをご参考ください。)
現在は中学生の家庭教師を担当しており、塾での高校生の指導も経験済みです。
もし、気になる方がいましたらお問い合わせよりお気軽にこちらについての質問、申し込みなどお寄せ下さい!
著者の受験プロフィール
受験教科
英語、国語(現代文、古文)、世界史B
合格実績
在学中H大学法学部法律学科合格(T日程およびA日程)
学習院大学法学部法学科合格(コア試験)
成蹊大学法学部法律学科(A方式合格)
成城大学法学部法律学科澤柳奨学金特待生合格(A方式)
東洋大学法学部第一部法律学科合格(一般前期3教科国語重視)
専修大学法学部法律学科合格(全学部統一入学試験)